不動産投資で損をしない!確定申告12の経費

そろそろ確定申告について考えなければならない時期がきました。不動産所得について計算方法を確認するとともに、不動産投資以外の部分への影響についても学んでいきましょう。

不動産所得の計算方法

不動産所得は以下の式により計算されます。

不動産所得の金額 = 総収入金額 – 必要経費

総収入金額には、通常の賃料収入以外に名義書換料や更新料、共益費、礼金、それと敷金のうち返金を要さない部分の金額も含まれます。

 必要経費にはいろいろな種類があるので、個別に確認をしていきます。大前提として「不動産賃貸業と直接的な関係があるもの」であることが大切です。私生活で使った飲食費や交通費などは基本的に経費ではありません。ただし、後述するような理由により経費として該当するものも出てくることがあります。

不動産所得で認められる12の経費

不動産経営をする上で、どの様なものが経費計上できるのか?それぞれ解説をしていきます。

①租税公課

固定資産税や契約にかかる印紙税、登記関係でかかる不動産取得税や登録免許税が該当します。

②損害保険料

物件に対する火災保険や地震保険の保険料です。仮に自宅と一体になっている物件で全体に対して保証をしているようなときには、自宅部分を除いて計算する必要があります。

③減価償却費

購入した物件は、時間の経過とともに価値が減少します。その減少分を経費として計上するのが減価償却です。購入した物件の状況(新築or中古、構造などを考慮)に応じて、数年間~数十年間かけて費用を計上していきます。

例えば築25年経過している木造物件の場合、耐用年数は4年です。建物の購入価額が2,000万円だとすれば、毎年500万円の経費が計上されます(実際には月数按分あり)。

注意をしたいのは、土地は減価償却をしないということです。土地は時間の経過にしたがって価値が減少しませんので、減価償却の対象とはなりません。仮に中古アパートを購入する場合、土地と建物を一体で購入するのが一般的です。合計額が同じなのであれば建物部分の金額が高いほうが必要経費を多く出せますので有利です。

例:土地と建物併せて5,000万円の物件。建物は木造で築25年経過(4年で減価償却)。

1)土地が4,000万円、建物が1,000万円の場合

 一年分の減価償却費 = 1,000万円 ÷ 4年 = 250万円

2)土地が2,500万円、建物が2,500万円の場合

 一年分の減価償却費 = 2,500万円 ÷ 4年 = 625万円

減価償却費の計上額は、不動産所得の計算において非常に重要度が高いです。建物の取得価額、築年数、構造、耐用年数など、様々な要素を事前に検討する必要があります。減価償却費は「支出を伴わない経費」です。他の経費が計上額=支出額であることが多いのに対して、支出がないという点は大きな特徴といえます。

それと、減価償却費は永続的に計上できるものではありません。例えば上記の例であれば、4年経過した時点で建物の費用処理は終了してしまいますので、5年目以降は減価償却費を計上することができなくなります。結果、不動産所得の金額が大きくなりそれだけ課税金額も高くなります。税負担を受け入れるのか、あるいは売却など別の手段を講じるのか、検討する必要が出てくるでしょう。

④修繕費

物件の修繕にかかった費用です。

ここで問題となるのは「修繕なのか、新しい設備投資なのか」というところです。入居者さんの引越しに伴い原状回復をしたり、故障したものを直したりする行為は基本的に修繕に該当します。ただし、新しい機能の追加(非常階段の取り付けなど)や用途変更に伴う模様替えなどは修繕ではなく、新しい固定資産の購入と判断されます。

実務においては、修繕の周期や金額などを基準に「修繕か、設備投資か」について判断することもあります。勝手に修繕として処理をして後から指摘を受けるようなことがないように気を付けましょう。

⑤借入金利息

金融機関に対して支払った利息です。

注意が必要なのは、経費に該当するのは利息部分のみであり、元本部分は経費ではありません。元本の部分は「借りたものを返しているだけ」です。手元からお金が出ていくので支出ではありますが、不動産所得の計算上経費には含まれません。

先程紹介した減価償却費は「支出を伴わない経費」でしたが、借入元本の返済は「経費に該当しない支出」です。このように、不動産所得では所得(儲け)の計算と、現預金の流れが一致しない部分があります。

⑥管理費

賃貸物件の管理に関する費用です。不動産業者に仲介を依頼していたり、物件の維持管理を依頼しているときに計上されます。

不動産投資をしている人の中には、自分の所有物件を管理するための法人を自前で用意していることも少なくありません。この場合、個人から管理用法人に対して管理費を計上することで、個人側での不動産所得が圧縮されます。管理法人側では、受け取った管理費を給与として親族に支払うことも多いです。ただ、この自前で用意した管理用法人に対してあまり多額の管理費を計上すると、当然に税務署から目をつけられることになるので注意が必要です。

⑦交通費

物件管理に必要な交通費です。

ここで重要なのは必要性です。例えば同じ町内にある賃貸物件を管理するために、交通費が必要でしょうか?「管理用機材を車で運ぶための燃料費」「不動産業者が離れたところにあり、そこまでの移動費」というような理由があればまだしも、そうでない場合には経費性が認められるとは考えづらいです。

所有物件が遠方にある、ということであれば経費性についても十分検討の価値があるかと思います。この場合には新幹線や飛行機代でも経費になる可能性があるでしょう。ただ、仮に旅行などの遊興費(ゆうきょうひ)が混在している場合には、すべてを経費として計上することはできません。事業経費と生活費を何かしらの数字で分けておく必要があります。

⑧通信費

電話やネット代、郵送料が該当します。これも事業経費と生活費を分けて計上します。

⑨新聞図書費

新聞や書籍の購入費用です。不動産に関する動向を知るための研究として購入をしているものがあれば、経費として計上できます。

⑩接待交際費

不動産事業に関して、誰かを歓待したときに支出した費用です。贈答品の購入や接待飲食代が該当します。

不動産所得における接待交際費ですが、基本的にはかなり厳しく判断する必要があります。製造業や建設業といった自営業をしている場合であれば、取引先を接待することは珍しくありません。しかし不動産貸付業において、誰を接待するのでしょう? 借りてくれている入居者さんを接待する、というのはあまり聞いたことがありません。

仲介をしてくれる業者さんや、借り主になってくれそうな見込み客を接待したようなときには経費性が認められる可能性があります。あくまでも「不動産貸付業に必要な支出」であることが必要です。

⑪消耗品費

所有物件の管理に必要な備品の購入です。清掃用具や取り換え用の照明器具などが該当します。

⑫税理士などに依頼した場合の費用

税理士に確定申告を頼んだり、司法書士に登記関係の作業を依頼したときに生じる費用です。

各項目でも触れましたが、経費として認められるのは「不動産貸付業と直接的な関係があるもの」です。不動産事業の場合、経費については通常の自営業よりも認定について厳しく判断されるものと心得ておきましょう。

税金計算の仕組み

計算した不動産所得ですが、それ単独で税金を計算することはできません。給与や年金など別の収入がある場合、それら別の所得と合算をした上で税金計算をします。どれくらいの税金が出るのかは、この合算後の所得によりますので、不動産所得の金額が低くても給与が多ければそれなりの税金が出ることもあります。

 ここで少し考えてみたいのが、不動産所得の計算において損失が出たケースです。特に中古物件を購入したような場合、購入後すぐに多額の減価償却費が計上されることから、不動産所得が赤字になることがあります。

この赤字については、損益通算という仕組みを活用することで給与や年金など他の所得と相殺をすることが可能です。給与で所得が1,000万円あったが、不動産所得で損失が600万円あったので、相殺後の400万円に対して課税がされる、ということが起きます。

1,000万円(所得)-600万円(損失)=400万円(課税対象)

所得が下がることにより、税金の負担が減る以外にも、保育料などの計算にも影響が出ることもあります。お住いの自治体でどのような計算をしているのか確認をしておくと良いでしょう。

不動産物件の中には、最初からこの損益通算の適用を見越して取引されているものもあります。この場合、物件の耐用年数が経過して減価償却費が計上できなくなった時点で売却される場合があります。何の目的で購入した物件なのか、購入した物件をどれくらいの期間所有し続けるのか、ということも不動産投資における大切な点です。

その他の仕組みについて

不動産貸付を始める場合、所得税の青色申告制度はぜひ活用しましょう。規模が小さい場合でも10万円、一定規模以上の場合でしっかりとした経理処理をした場合には65万円の特別控除を受けることができます。適用を受けるためには税務署に書類を提出する必要があります。

 それと、投資物件の購入や改築にあたって補助金が出る例もあります。国や地方公共団体が推進を後押ししているような物件(少し前であれば太陽光関係、最近ではサービス付き高齢者向け住宅など)について、所定の手続きをすることで補助金や助成金を受けることができます。

 ここでは主に税金の計算に注目をして話を進めてきました。しかし、不動産投資の結果、税金が安くなったとしても、運用として失敗をしてしまえば意味がありません。運用(収入が増える)として成功、加えて税金まで安くなる。そんな好条件の物件をしっかりと選び取れるようになることが、不動産投資における肝と言えるでしょう。

遠藤 裕史

遠藤 裕史

大学卒業後、渡米し現地の大学院にてMBAを取得。現地新聞社で4年間働き、事情により帰国。その後、広告代理店を経て、2016年1月よりメディア・マーケティング担当として現職へ。