競売物件の購入方法とリスクを徹底解説!

裁判所で競売を行うイメージ

物件を手に入れる方法は、不動産会社から購入することが一般的ですが、実勢価格よりも安く手に入るという理由で競売(けいばい)物件が注目をされています。これから数回に分けて競売物件について解説していきます。

競売物件ってなに???

競売物件は、裁判所が行う競売手続きによって競売にかけられた不動産(建物・土地)のことです。

一般的に流通している物件との大きな違いは、「宅地物件取引業法」が適用されないことです。

競売物件は、
物件の説明、内覧、瑕疵担保、カギの引き渡し、物件の引き渡しなども無く、購入者を保護する特別な法律はありません。
もしトラブルに巻き込まれた場合には、訴訟で解決することが前提となります。

では、なぜ物件が競売にかけられるようになったのでしょうか?
それは、お金を支払うべき債務者が、支払いを怠ったため、債権者が裁判所に差し押さえを頼んだからです。
そして差塩さえられた物件は「入札」という形で最高額を提示した業者または個人に所有権が移行します。

競売物件は物件の所在地を管轄する裁判所で入札が行われます。
東京は東京地方裁判所(主に23区と伊豆7島など)と立川支部(主に市部)で入札ができます。

競売に参加するための条件

競売には原則として、資格の制限はありません。
誰でも参加することが可能です。
また法改正も行われ、以前は格安な仕入れ先として、競売の専門業者が参加していましたが、現在は一般の不動産会社、個人の参加も増えています。

しかし、下記の方は、競売への参加が認められていません。

・競売物件の債務者(所有者等)

・裁判所が制限した資格を有しない人

・適正な実施を妨げる行為をした人

競売物件の債務者

競売は債務額未満で取引されるケースも多く、本来債務全額を返済しなければならない債務者が債務額に満たない金額で、他人に物件がわたるのを防ぐことを目的として、債務者による入札は禁止されています。(民事執行法68条)

裁判所が制限した資格を有しない人

裁判所が入札を制限した場合、その資格を有しない人以外、入札をすることができません。
例えば、農地などの競売は農業委員会などが発行する買受適格証明書が必要となります。
この制度は、農地等を宅地として使用することを制限する目的があります。(民事執行規則33条)

適正な実施を妨げる行為をした人

入札妨害、談合、公務執行妨害、職務強要など、競売の適正な実施を妨げる行為をした人は、競売に参加できません。

更に詳しく知りたい方は裁判所のHPをご確認ください。

競売物件のメリット

競売物件のメリット、デメリットは次回詳しく説明しますが、ここでは簡単に説明します。

まず、1番のメリットとして、一般に販売されている物件よりも価格が安く手に入る事です。
理由として、競売物件には問題点も多いため、その分、物件評価も低く設定しているためです。

もう1つのメリットはその種類の豊富さにあります。
マンション、一軒家、店舗。事務所、オフィスビル、マンション一棟などの物件に出会うことができます。
また宅地以外にも、農地、山、変形地、細長い土地など不動産業者が取り扱わない物件も競売にかけられることがあります。

競売物件のデメリット

競売物件最大のデメリットは売主がいないことです。
つまり、売主が居る場合に課せられる法律の義務を、果たすことができないということです。
そのため、競売物件は、所有権を移転するだけで、その後の引き渡しはしてくれません。
もし購入物件に人が住んでいた、ゴミ屋敷だったなどのトラブルがあった場合、処理を購入者自身で行わなければなりません。

また、一般の不動産会社から購入した物件であれば、瑕疵担保責任がありますが、競売物件には売主がいないため、責任は全て購入者が負わなければいけません。
購入物件の躯体・室内の不具合なども考慮する必要があります。

競売物件のメリット

競売は、「怖い」・「怪しい」などのイメージを持っている方も多いのではないでしょうか?
イメージが先行しプラス面よりもマイナス面が目立っていることも事実です。
皆さんにとって競売は、本当にお得なのでしょうか?

メリット1 価格が安い

競売物件を購入するメリットとして一番大きなものは、不動産会社が販売する物件よりも価格が安いということです。
競売で購入する場合、立ち退き、カギの引き渡し、設備の点検、隠れた不具合の保障など通常の売買で買主が受けるべきサービスが無いというデメリットがあります。
このデメリットがあるために競売物件は、物件価格を評価したあと、競売市場修正があり3割ほど減額している場合が多くあります。
このため、競売物件は通常販売されている物件よりも安いと言われています。

メリット2 普通の不動産投資では流通しない物件を探せる

不動産会社では、変形地、極端に長細い土地、狭い土地などを扱う事はほぼありませんが、競売では、場所や価格など関係なく取り引きが可能です。
また、公道に接していない、再建築不可の建物、農地、市街化調整区域など流通があまりない物件も競売の対象です。
まれに掘り出し物の物件が出てくることもあります。

 メリット3 誰でも参加しやすくなった

以前は、専門の業者が入札を行っていましたが、法改正が行われ、一般の不動産会社、個人の参加が増えてきました。
東京23区の場合、平成28年では835件の取引が行われました。
参加者が増えた背景として、法改正の他に、競売物件は裁判所が権利関係を整理してくれるので、所有権の移転、抵当権の抹消など確実に行われることも、要因の一つです。

メリット4 銀行のローンが利用できる

法改正により、競売物件を購入する際、ローンを利用することも可能となりました。

※ローンは通常の住宅ローンや業務用ローン等が利用可能ですが、収入、年齢、物件の評価によりローンを利用できない場合もあります。

競売物件のデメリット

競売物件には、上記のようなメリットがあります。
しかし、これから解説するようなデメリットもありますので気をつけてください。

デメリット1 引き渡し

競売物件、最大のリスク(デメリット)は、売主がいないということです。
そのため、通常の取引で買主が得ることができるサービスを受けることができません。

買主が得ることができるサービス

・物件の引き渡し

・鍵の引き渡し

・設備の説明

・物件の立会い など

通常、上記のようなサービスを買主は得ることができますが、競売物件の場合、裁判所は所有権の移転までしか行いません。

デメリット2 立ち退き交渉

万が一、落札した物件に人が住んでいた場合、住んでいる人と交渉を行い、立ち退きを依頼しなければなりません。
ほとんどの場合、裁判所から立ち退き命令を出すことで、立ち退いてもらえますが、入居者が立ち退きを拒否する場合もあります。
交渉がまとまらない場合は、裁判所による強制執行を行い解決しないといけません。
また、立ち退き交渉などの費用は買主が負担しないといけません。

デメリット3 残置物の処理

残置物があった場合には、勝手に撤去することができません。
なぜなら、残置物に関しては、所有権が移転していないためです。
残置物の撤去をする場合には、前所有者との交渉、または、強制執行をしないといけません。
その際の、処理費用、荷物運搬費用、人件費など全て買主の負担になります。

デメリット4 瑕疵担保責任が無い

通常、不動産会社から物件を購入際には瑕疵担保責任が義務付けられています。
瑕疵担保責任とは、物件を購入し、隠れた瑕疵(欠陥)が発見された場合、一定期間内(新築10年、中古2年)は、買主が売主から保障を受けることを定めているものです。

しかし、競売物件では、売主がいないため、だれも瑕疵担保責任を負うことはありません。
競売で所有権を得た物件に、重大な瑕疵、水回り、電装関連、躯体関連に不具合があったとしても、全て購入者の責任となり、自己資金で修復するしかありません。

競売物件は、入札前に立ち入ることができないため、競売物件の評価書を元に推察するしかありません。
しかし、評価書など競売物件に書かれている内容と、物件の状態が大きく違う場合、売却許可の取り消しを求めることもできます。

競売物件の情報を入手する

所在地、広さ、価格など物件の簡単な情報は、インターネットで調べることが一般的です。
裁判所が運営する競売物件情報サイトBIT(Broadcast Information of Tri-set system)では、全国の競売物件情報、エリア、沿線、価格などで絞り込むことができるので便利です。
また、競売にかけられる物件の、詳細情報が載っている資料を入手できます。
ただし、BITで見ることができる資料には、プライバシー保護の観点から、人名の記載はありません。

裁判所で情報を得ることも可能ですが、購入希望エリアを管理している裁判所に行く必要があります。
購入を検討する物件が見つかった場合、裁判所から直接資料を入手し、権利関係を把握しましょう。

競売物件をチェックする書類

BITで見ることができる、「物件明細書」、「現況調査報告書」、「評価書」の3つの資料は必ず確認しましょう。

物件明細書

物件の簡単な概要、売却条件などが書かれている資料です。
物件の場所、大きさ、入札の基準になる売却基準価格などの情報が分かります。

記載されている内容

1.不動産の表示
物件番号

2.売却後の所有権について
土地、建物のどちらか一方の競売の場合の権利について書かれています。
競売物件の土地が、抵当権設定記録がある場合、地上権を主張することができない可能性もあり、売却対象外の建物が建っていた時には、土地を利用できないこともあります。
必ずこの項目を確認し「なし」と記載があれば基本的に問題がないので、確認を必ずしてください。

3.買主が負担する権利
所有者が締結した他人との賃借権などは、購入後も消滅しないため買主が引き継ぎます。
賃借権などが記載されていないか確認しましょう。

4.占有状況の注意事項
引き渡し命令を要求できるか、訴訟を行わなければならないのかが記載されています。

5.その他
土地の境界、私道、公道、温泉権、管理費などについて記載されています。

現況調査報告書

競売物件の現在の状況、住民が住んでいるのであれば、どの様な人なのかなどをまとめた資料です。

占有者の生活状況、電気、ガス、水道の使用状況、冷蔵庫内の状況など細かく把握できるようになっていますが、あくまでも調査された時点での情報です。
したがって、状況が変わっている可能性もあります。
なかには居住者でない人が住んでいる、空き家だったけれども人が住んでいたケースもありますので、現地確認はしっかりと行いましょう。

評価書

不動産鑑定士が競売物件の評価書を作成します。
物件の概要、状態、間取り、写真など物件の詳細が記載されています。
建物の価格は更地価格の6~8割相当、土地の価格は2~4割相当が基準となっています。
競売にかけられるというだけで評価がさがり、さらに物件の状況などを考慮し計算されます。

全ての書類は、評価を行った当時の資料です。
現況を示しているものでは無いということを覚えておきましょう。

競売物件の入札方法

競売のイメージとして多くの方が、オークションの様な形式を想像すると思います。
しかし、実際は一発勝負です。
一度入札価格を記入すると変更はできません。
相場などがわからない場合、高い値段で入札をしてしまう恐れがあるので注意が必要です。

競売物件の入札は期間入札という方法で行われ、入札期間内(一週間程度)で入札を受け付ける方法です。
入札された入札書は、開札日に入札者の立会いのもと開けられ、最も高い価格を付けた人が落札します。

入札は誰でも参加できますが、手数料が必要です。
入札を希望する物件の20%以上が手数料となります。
物件によっては高額となりますが、落札できなかった際には全額が返金されます。

もう一つの方法は特別売却という方法があります。
こちらは、期間入札で入札がなかった場合に先着順で売却されます。
この特別売却の物件は期間入札で誰も入札をしていない物件になり、何らかのトラブルを抱えている可能性が高い物件です。

競売の入札までの流れを説明します。

1.予算

予算額を検討する必要があります。
ローンも利用を利用することも可能なので、金融機関に借入が可能な金額を確認しましょう。

2.競売物件の決定と調査

競売に関する情報は、インターネット、新聞、雑誌などで確認ができますが、インターネットでの検索をおすすめします。
競売物件の情報を調べるには下記サイトがおすすめです。

BIT(裁判所の競売物件情報サイト)

981.jp(不動産流通協会のホームページ)

両方のサイトから、物件明細書、現況調査報告書、評価書が入手可能ですが、981.jpは会員登録をする必要があり、BITの方が使いやすいと思います。

3.入札

入札日はBITで告知されるので確認をしましょう。
入札に必要な書類などは下記の通りです。

裁判所からもらう書類

・入札書
・入札用封筒
・保証金振込証明書
・裁判所補完金振込依頼書

個人でそろえる書類

・住民票(法人の場合は資格証明書または登記事項証明書)
・保証金(公告に記載されている金額)
・印鑑(認印も可)

入札価格は売却基準価格を2割下回る価格以上で金額を記入します。
落札後も予期せぬ費用が発生する場合があるので、余裕を持った入札価格を記入しましょう。

保証金の振り込み

保証金振込控えを保証金振込証明書に添付して、住民票と一緒に裁判所へ提出します。

全ての提出書類は、コピーをして控えで確認ができるようしましょう。

4.開札

開札日に裁判所、BITで、結果を確認することができます。

5.落札決定

落札者は、裁判所より売却許可決定が下され、その後異議申し立てがなければ1週間後に決定されます。

6.残置物、明け渡しの交渉

落札した物件にまだ人が住んでいる、残置物がある場合には交渉を行い立ち退き、撤去を依頼します。
交渉では、占有者へ金銭を渡しての退去・撤去は依頼しないようにしましょう。

7.代金を支払う

落札後、裁判所から代金納付期限通知書が届きます。
通知書には提出書類が記載されているので、期日までに提出し金額を支払います。
その他、所有権移転を行うために、登録免許税も納付する必要があります。

8.強制執行

代金納付後、物件の占有者が居る、残置物がある場合、強制執行が可能です。
しかし、強制執行にかかわる費用は落札者の負担です。

9.登記識別情報通知書

代金を支払うと、裁判所から登記識別情報通知書が届きます。
これは、権利書の役割があるので、大事に保管してください。

以上が競売物件の流れです。

まとめ

物件を競売で購入することで安く購入することは可能ですが、いろいろなリスクがあります。
まずは信頼できる不動産会社を探し、相談することをおすすめします。
個人で競売に参加し、失敗している方も多いので、プロ並みの知識と経験がある方でない限りおすすめはしません。
物件の購入は安全・安心を第一に考えて行うことが大切です。

 

遠藤 裕史

遠藤 裕史

大学卒業後、渡米し現地の大学院にてMBAを取得。現地新聞社で4年間働き、事情により帰国。その後、広告代理店を経て、2016年1月よりメディア・マーケティング担当として現職へ。