
日本銀行は、マネタリーベース(日本銀行が供給するお金の量)が年間約80兆円に相当するよう金融市場調整を現在行っており、長期国債の買い入れ等によりマネタリーベースは394兆円~405兆円台で推移しています。ここでは、2016年9月27日に発表された金融政策決定会合の一部レポートを元に解説していきます。
金融・為替市場動向
短期金融市場の金利はターム物2営業日以上を期日とする資金貸借取引)など総じてマイナス圏で推移しています。
短期国債レートも‐0.3%と引き続き日本銀行は、市場にお金を供給するスタンスを崩していません。日経平均株価は、欧米株価の上昇や日本銀行の財政、金融政策により1万6000円台で推移しています。
為替相場を見ると円ドル相場はイギリスのEU離脱により円高ドル安進みましたが、日本銀行の金融政策により円安ドル高の動きとなっています。海外金融経済情勢
アメリカは新興国経済の減速などから鉱工業部門は伸び悩んでいるが、雇用、所得、家計支出に支えられて回復傾向にあり、インフレ率は前年比+1%後半で推移しています。
欧州経済は、輸出が弱い動きになっていますが、個人消費に支えられて緩やかな回復を続けています。
英国経済は、EU離脱の国民投票後に経済情勢は悪化しましたが、現在は回復傾向にあります。海外の金融資本市場は、英国の国民投票直後に主要国の長期金利は大幅に低下し、株価等も大幅に下落しました。
主要国の政策対応、英国の新首相就任など不透明感の後退などを背景に、株価などのリスク性資産の価格は上昇しています。国内金融経済情勢
新興国経済の減速の影響などから輸出・生産面に鈍さが目立ちますが、全体として回復を続けています。
輸出は横ばいの動きとなり、自動車関連を中心に増加傾向となっていますが、海外経済の減速、円高を背景に、横ばい圏内の動きを続けると考えられています。
公共投資は熊本地震の復旧復興対策などから、緩やかに増加します。
設備投資は、企業収益が高水準で推移する中で増加傾向にあります。
設備投資計画は製造業を含めしっかりとした計画が維持され、機械、建築工事費予定額も増加しています。個人消費
雇用・所得環境の改善により、底堅く推移しています。
1~3月は暖冬、製鉄所の事故で自動車の供給に制限があったこと、株価の下落の影響で、低調な動きになっていましたが、4~5月は、自動車の販売が回復し、今後個人消費も徐々に増えていくと予想しています。物価
物価は国際商品市況や為替相場の動きを反映して、物価の下落幅は縮小傾向にあります。
消費者物価の前年比は小幅のマイナスとなっていますが、生鮮食品・エネルギーの6月の前年比は+0.8%となっています。
消費者物価は、エネルギー価格下落の影響から、当面小幅なマイナスまたは0%程度で推移すると予想しています。金融環境
金融環境は緩和した状態にあり、マネタリーベースは大幅に増加しています。
企業の資金調達コストは低い水準で推移しており、金融機関の貸し出しは、大幅に緩和しています。コマーシャルペーパー(企業が資金調達するために発行する無担保の約束手形のことを言います)社債市場でも、良好な環境が整っています。
企業の資金繰りも良好な所が多く、銀行貸出の増加などから、物価は上昇傾向にあります。引用元: 日本銀行 政策委員会 金融政策決定会合

遠藤 裕史

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