【第32回】表面利回りの罠 番外編「かぼちゃの馬車」大事件③

みなさまこんにちは!

ストレージ大家ひらです。

今まで私は不動産投資最初の洗礼にして最大の罠である
「表面利回りの罠」について19回に渡りコラムを書いてきました。
そしてその表面利回りの罠そのものの事件が今回起きました。

「かぼちゃの馬車」という女性専用シェアハウスを運営していた
スマートデイズがサブリースの支払いができなくなってしまったのです。
700人以上いると言われるかぼちゃの馬車オーナーたちの中から、
何人の自己破産者が出るかと言われているくらい、
深刻な不動産投資の事件です。

これはまさに私が今まで書いてきた表面利回りの罠そのもののような物件であり事件なのです。
表面利回りの罠としてシェアハウスの危険性を直前にコラムとして公開した身として、
「かぼちゃの馬車」の一括サブリース支払い停止のニュースについて、
引き続き私なりの意見を書いていきたいと思います。

今回はシェアハウス運営そのものに対してスポットを当てます。

何度も検討してきたシェアハウス

実は私もシェアハウスを過去何度も検討しています。
その時の賃料設定は都内でも25,000円~30,000円程度でそこに共益費が加算されるような設定でした。

シェアハウスは礼金無しなどで初期費用1万円などと謳う物件やシェアハウス専用募集サイトもあり、それが1つシェアハウスの魅力でもあります。

家賃も安いため簡単に引っ越しできる契約体制が多く、
またシェアハウスは人間関係がこじれやすいのと合わせ、
一般の賃貸に比べて回転(入居者の退去,入居の頻度)が早いです。

シェアハウスは安ければ入るというものではない

もちろんもっと家賃設定の高いシェアハウスもあります。
(かぼちゃの馬車は私が検討していたような低い家賃設定より少し高めを狙っている物件が多いようです)

ただシェアハウスの場合、集団生活のようなスタイルから、
低い家賃設定であってさえ、
なかなか他の賃貸のように満室ということはありませんでした。

普通賃貸において家賃は最も大きなファクターですが、
だからといって家賃が安ければ入るという訳ではありません。
東京23区などの都会でも、シェアハウス激戦区などは、安くても入らないのです。

シェアハウスはメジャーではない。マイナーである

シェアハウスは決してメジャーな賃貸ではありません。
一般のその部屋だけで独立した賃貸を貸し出すのに比べて、
共同生活をすることを好むか、
あるいは賃料の安さと立地のバランスで選ぶ方だけをターゲットにしなくてはなりません。

特にかぼちゃの馬車のような少人数のシェアハウスや、
広い共用部を設けないようなシェアハウスはそうです。

調査したシェアハウス5つの問題点

私が過去物件を調査し、
東京23区駅近で例えば再建築不可などをシェアハウスにした場合について調査した時、
大きな問題となったことが、5点ありました。

1.管理運営にかかる管理費などのランニングコストが高かったこと。
2.回転率が高く、満室に対する稼働率が低いこと。
3.そもそも入居者の確保が一般の仲介でできず、いざという時に入居率をコントロールできないこと。
4.間取りが特殊なため、いざという時に普通の賃貸に戻すことができないこと。
5.以上のことから出口が弱く、キャピタルロスが出るか、そもそも売れるかもわからないこと。

手取りの算出が大事 

上記5点から実は見かけの利回りである表面利回りは、
私が調査した物件で16%~20%程度は表面上出ていたのですが、
実際には12%程度で通常の賃貸と変わりがありませんでした。

むしろこのようなニッチな市場を狙うのに見合う利回りとはとても思えませんでした。
出口が弱いことからくるキャピタルロス次第では、
そもそも普通の賃貸物件以下であると思えました。

人気となるシェアハウスは決まっている

シェアハウス自体を否定するものでは決してありません。
というか、シェアハウスで上手く回している大家仲間は実際にいます。

例えば都心のプレミア立地でシェアハウスをしている例です。
周りの通常の賃貸はとても高く、
それらに比べて若干家賃が安いだけでも人気になるようなエリア。
あるいは外人がシェアハウスをサポート含めて求めてくるようなプレミアエリア。
こういうところは高所得者層狙いで上手く回している大家さんがいました。

あるいは、大規模のシェアハウスです。
百人規模のようなシェアハウスは6~10人程度のシェアハウスと全く魅力も需要も違います。
そういうシェアハウスは、まず共用部がしっかり作られています。
広い交流の場が設けられていたりします。
イベントも多く華やかです。
こういったシェアハウスは法人が投資・運営してくるレベルで、
まさにシェアハウスならではの魅力と利益率を実現しています。

シェアハウスを上手く回せる人

あるいはシェアハウスのデメリットを自分で吸収できるような人は向いています。
最たる例は管理です。
シェアハウスの管理は通常賃貸の5%の管理費と比べるとはるかに高いです。
この管理を自主管理している人は、通常の賃貸の自主管理に比べても大きな利益率への貢献になります。
まさに甲斐甲斐しい女流大家さんなどが向いています。
(どうしても男性だとこういったことは警戒されるものです)

また肝心のシェアハウスへの客付けが得意な人がいます。
例えばNPOに所属していて特定の人達の口コミで入居者を確保できるような人。
あるいは海外の留学生達を入れられる人。
日本語学校にツテがあるなどもそうです。

シェアハウスのキモ

シェアハウスは実は募集がキモです。
一般の賃貸マッチングサイトではなく、
シェアハウス専門のマッチングサイトがあり、
そういうところでないと中々募集することが難しいです。
一般の仲介会社さんでは扱えないのです。

さらに管理費を安くできると非常に効率が良いです。

表面利回りの罠に引っかからないことが不動産投資のキモ

稼働率を上げられなければ、表面利回りなどに意味はありません。

利回り20%でも稼働率が半分であれば10%です。
そこに30%のランニングコストが掛かってくれば、6%です。
利回りとはそういうものです。

そんなシェアハウスの利回りはまさに絵に描いた餅です。
そう、まさに表面利回りの罠に他なりません。

私が過去途中まで調査し止めた物件はこれら理由によります。
この調査や投資判断そのものが実は表面利回りの罠をかいくぐる行為であり、
私達大家を投資業としている人間が日々やっていることなのです。

表面利回りの罠をかいくぐれなければ待つのは破たん

一括サブリースなど当てにはできません。
実際の手残りは必ず把握しなくてはなりません。
そこには需要調査と客付けの算段も含まれます。

これらをやらない人、あるいは調べられない人は、
まさに表面利回りの罠にはまり、
待つのは破たんでしょう。

今回のかぼちゃの馬車の一件はまさにそういうであった。
表面利回りの鬼子にやられた。
私にはそう見える事件です。

今回も最後までお読み頂き、ありがとうございまいした!

ストレージ大家ひら

ストレージ大家ひら

様々な不動産投資を一通りやっている雑色系大家さん。始めた時から業者さんみたいと言われますが普通の大家です。投資の本質は歪みであり、トータルの利益を常に注目しています。最近の物件選定は都心回帰、新築回帰。運用目標は年24%、セルフストレージ投資も100室以上所有。