【第18回】表面利回りの罠⑪~満室想定の罠~

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みなさまこんにちは!

ストレージ大家ひらです。

引き続き不動産投資最初の洗礼にして最大の罠である
「表面利回りの罠」について説明していきます。

今回もこの表を離れ、表には出てこない部分を取り扱います。
今回は満室想定です。

表面利回りの大問題点、満室想定

表面利回りの根本的な問題は数多くあります。

そのうちの一つが満室想定です。

満室想定とはまさに満室家賃を想定している利回りです。
例えば相場とかけ離れた賃料設定をされている場合、
全くその利回りは意味がなくなります。

満室想定の罠

    表[レントロール誤った家賃設定]

101 63,000円 募集中
102 65,000円 2015.03.01~
103 63,000円 募集中
201 65,000円 2013.12.05~
202 65,000円 募集中
203 55,000円 2017.02.01~

例えば、あからさまですが、上記のレントロールで例を考えてみます。
この場合、満室想定の賃料は、月376,000円、年4,512,000円です。
この物件価格が4,000万だとするなら、表面利回りは11.28%になります。
しかし直近で決まっている203号室の家賃をみると、どうも相場通りとは思えません。

現在の正しい利回り

表[レントロール正しい家賃設定]

101 52,000 募集中
102 65,000 2015.03.01
103 52,000 募集中
201 65,000 2013.12.05
202 55,000 募集中
203 55,000 2017.02.01

直近で決まっている家賃設定から、正しい利回りに直してみました。
この場合、満室想定の賃料は、月344,000円、年4,128,000円です。
この物件価格が4,000万だとするなら、正しい表面利回りは10.32%になります。
これだと全く物件として別物ですね。

家賃は過去ほど高い

家賃というのは矛盾していて、古い入居者ほど高くなっています。
大家にとって過去の方が賃貸相場の時期が良く、
建物も新しいため、
古い入居者の方が高い賃料なのです。

家賃は矛盾している

矛盾しているというのは、
古い入居者ほど高く、新しい入居者ほど安い、というところです。
本来は逆でないとなりません。

将来的にも正しい利回り

表[レントロール将来的にも正しい家賃設定]

101 52,000 募集中
102 52,000 2015.03.01
103 52,000 募集中
201 55,000 2013.12.05
202 55,000 募集中
203 55,000 2017.02.01

ではさらに正しいレントロールに変更してみます。
古い入居者が退去した場合、
新しい家賃に切り替わります。
このレントロールは現在の入居者が全て入れ替わった時の利回りです。
この場合、満室想定の賃料は、月321,000円、年3,852,000円です。
この物件価格が4,000万だとするなら、正しい利回りは9.63%になります。

収益物件の正しい実力

ついに10%を大きく割り込んでしまいました。
しかし、この9.63%こそが、この収益物件の本来の実力なのです。
プロ(業として携わっている人)はキッチリここまで見てきます。
そしてさらに退去時のリフォーム代も投資額である分母に加算します。
3戸で100万かかるとすれば、さらに正しい利回りは9.39%となります。
つまり売りに出している

11.28%という利回りの本当の利回りは9.39%

ということになります。
これではそもそも購入するかどうかさえ変わります

もっとわかりにくい罠

中古の場合の想定家賃というのはかなりわかりにくくなっています。
「不動産は一つとして同じ物がない。」
というのはよく言われることです。

そして今回のようなアパートならまだましで、
戸建てや区分になると1戸しかないため、
想定家賃がもっとわかりにくくなります。

新築だとさらにわかりにくい

さらにわかりにくいのは新築です。
サンプル数も少ないですし、設備やデザインによっても大きく変わります。
以前9%近く出る新築物件の相談を受けたことがありますが、
私が調べた限りその家賃はとても利回りがとれない設定で、
家賃を引き直すと8%割れになりました。

まさに表面利回りの罠ですね。

表面利回りを使った露骨な罠を必ず回避すること

よく想定賃料の妥当性を調べた方が良い、とアドバイスした結果、
この方はその新築を止めています。
このように購入の判定すら変わってしまうのが満室想定という表面利回りの罠なのです。

冒頭の中古物件の想定賃料もそうなのですが、
戸建て投資などでも非常に高い家賃で設定してきたり、
不動産投資の世界では満室想定家賃を使った利回りの罠が多いのです。

正しい利回りに自分で引き直すこと、
そして将来に渡って利回りが直されていくことを組み込んで、なお経営していける買い方をしなければ不動産投資は失敗します。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ストレージ大家ひら

ストレージ大家ひら

様々な不動産投資を一通りやっている雑色系大家さん。始めた時から業者さんみたいと言われますが普通の大家です。投資の本質は歪みであり、トータルの利益を常に注目しています。最近の物件選定は都心回帰、新築回帰。運用目標は年24%、セルフストレージ投資も100室以上所有。