【第16回】表面利回りの罠⑨~正確に出すことは不可能?利回りの妙味~

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みなさまこんにちは!

ストレージ大家ひらです。

引き続き不動産投資最初の洗礼にして最大の罠である「表面利回りの罠」について説明していきます。

 

 

今まで、利回りを計算する上での分母、分子について扱ってきました。

まだまだ書かないとならないことはありますが、
今回は骨休めも兼ねて、
不動産投資においてそもそも利回りそのものが非常に難解である、
という一端について書きたいと思います。

この辺で表面利回りの問題点や、
そもそも利回りというものの奥の深さについて認識してもらいたいという意図です。

様々ありますが、今回はそもそも利回りの計算方法には絶対的な解がない、
という点について説明したいと思います。

 

不動産投資の利回りは複雑な構成要素で作り出されている

不動産投資は株式投資などと比べると複雑です。
登記というシステムが存在する代わりに社会的信頼が得られますが、
登記を初めとしたアナログな世界は様々な経費を作り出してもいます。
それゆえスピーディな取引ができないため値動きも緩慢だったり、
不動産投資独特の特徴や構造を作り出している訳ですが。
様々な経費については、以下の表で過去説明しています。

【第8回】表面利回りの罠①~不動産投資最初の洗礼~

表1:[購入時に掛かる諸経費]

表2:[運営に掛かる諸経費]

不動産投資の利回りが複雑になる理由

利回りを計算するには、
冒頭で計算式を出しているように、
単純に言って、
「利益」を「投資額」で割るという分子と分母が必要です。
逆に利回りを計算するのに必要なのはこれだけなのですが、
実はこれがそもそも難解で複雑怪奇なのが不動産投資なのです。

レントロールの例

では実際の話と数値でまずはご覧に入れてしまいましょう。
以下の様な構成のアパートがあったとします。

こういった入居者や家賃、間取りの情報の一覧のことを、レントロールと呼びます。
レントロールには実に様々な情報が入り込んでいます。
特に家賃に関しては多くのことを読み取れます。
今回は家賃ではなく、間取りと入居時期について、考えたいと思います。

今時の不動産投資はお金が掛かる

一般的にも退去時と言うのは、リフォーム費用が発生します。
古い壁紙や古い床は全部張り替えたり、
【第13回】表面利回りの罠⑥~ランニングコスト(その他設備)~
表[最近の秘本設備]
の例えば今時温水便座がないとか、
ましてエアコンがないとかもう交換時期ということであれば、
1世帯あたり例えば30万円平均発生したとしてもおかしくはありません。
これに加えて間取りを2DKから1LDKに変更しないと家賃が取れないとか、
客付けが出来なくなっている、ということであれば、
間取りの変更も退去毎に必要となります。
それら全てをやるのに1世帯あたり40万円掛かったとします。
これは大げさなことではなく、現在の個人投資家系大家さんの生々しい運営の数値です。

リフォーム費用は過去の負債

レントロールを読むと、最近入居したのは1世帯のみです。
他は退去時にリフォーム費用が発生することが予想されます。
すでに1LDK化しているのは古い入居者の中では1世帯のみです。
つまり、退去毎にこれらリフォーム費用が発生すると、

40万x4世帯 + 30万x1世帯 = 190万円

ものリフォーム費用が最大で発生する可能性があります。

不動産投資の利回りが簡単に複雑になる具体例

さて、この190万円ものリフォーム費用は、
冒頭の利回り計算式に当てはめるとどこでしょうか?
分母でしょうか?分子でしょうか?
つまり購入金額に入れて利回りを出すべきでしょうか?
それともランニングコストに吸収してしまうべきでしょうか?
後者の場合は、利回りには出て来ないことになります。
これもおかしなものですね。

不動産投資の利回りが簡単に複雑になる計算例

ではこの物件が表面利回り15%の破格物件として購入したとして、
両方の利回りを出してみましょう。
評価額より安く買えている破格物件のため
諸経費やリフォームなど含むイニシャルコストは10%としました。

家賃総額:446.4万円
買値:2,976万円
イニシャルコスト(10%):297万円

リフォーム費用を分母と考えた場合
12.89 % = 446.4 ÷ (2,976 + 223+190)

つまりこの物件は考え方によっては約12.9%の物件とも考えられる訳です。

利回りの計算式に本当に解はある?

今回の場合、分子に入れるべき、
つまりランニングコストとして吸収することが正解であると思われるかも知れません。
確かに退去するかどうかもわからない、
あるいは退去時にそこまでリフォームが発生するかしないかもわからないので、
ランニングコストで吸収すべきなのかも知れません。

では逆にすでに半分空室でリフォームが必要だったらどうでしょう?
その場合間違いなくリフォーム費用は分母に入ることが正しいはずです。

不動産投資の利回りは本当に複雑

例えば不動産取得税というのは忘れた頃にやってくるもので、
これを最悪それまでに貯めた家賃で払えばいいと説く人もいます。
この場合は分母ではなく分子の経費でしょうか。

リフォーム費用も空室は分母で買ってから1ヶ月でも経って空いた部屋は分子ということなのでしょうか?
そうであれば表面利回りを高める手法は様々取れますし、
どちらも間違いとまでは言えないですよね。

大規模修繕は

もっと大きな経費でないと誤差に感じてしまうでしょうか?
例えばこの他に500万円かけた大規模修繕が3年後に控えていたらどうでしょう?
これは分母でしょうか?それとも分子でしょうか?
例えばその大規模修繕をする前に売却予定の場合だと、どうなるでしょうか?

不動産投資の利回りに大きな意味はない

実はこのように細分化して考えていくと、
そもそも不動産投資において利回りとはさして意味が無いものという結論になります。

私のつまるところの単純明快な回答は持ち合わせていますが、
それは様々問題点を洗い出した後で、
究極の解として出したいと思っています。

今回は不動産の表面利回りが、
経費の洗い出しなどだけでは出すことが出来ない、
非常に複雑なもので、
そしてそれ故表面利回りと言う曖昧なものを利用した罠が、
初心者を餌食にするために、
不動産投資ポータルサイトまで半ば見て見ぬ振りして
不動産投資では横行している、
という事実を知っておいてもらえればと思いました。

今回も最後までお読み頂き、ありがとうございまいした!

ストレージ大家ひら

ストレージ大家ひら

様々な不動産投資を一通りやっている雑色系大家さん。始めた時から業者さんみたいと言われますが普通の大家です。投資の本質は歪みであり、トータルの利益を常に注目しています。最近の物件選定は都心回帰、新築回帰。運用目標は年24%、セルフストレージ投資も100室以上所有。